自担の結婚発表

大好きなひとが結婚した。

 

2022年12月30日 19:00。同じグループが好きな姉とカラオケにいた。年末、彼らが歌っていたカラオケ定番ソングを歌いながら、年の瀬ならではのるんるんモードでたくさん歌って、たくさん笑った。

ふとスマホを見たときに、「ご報告がございます」のメールが届いてた。もう長年おたくやってると、この文言に沸き上がるようなゾワゾワしかなかった。解散でも活動休止でもないだろうなんて日頃の言動を見てたらすぐわかった。ということは、なんて想像できたけど信じたくなくて、でもメールを見てしまった限り他の人からそれを伝えられるわけにもいかないと思って、開けたら案の定、結婚報告だった。

無意識に忘れているんだろうけど、もうなんて書いてあったか覚えてないし、まだ振り返って見ることなんてできないけど、あの人がちゃんとした日本語で、結婚を報告していた。それまでのスーパーハイパー楽しかった時間が一瞬で止まって、顔の引きつりが止まらなくて、理解したくなくて震えが止まらなかった。

腹から声を出して一回忘れようと思った。うっせぇわで完全なる憂さ晴らしをして、subtitleの歌詞が刺さって号泣して、なるべく歌詞に意味のない曲ばっかり歌った。こういうときのズンドコパラダイスは無敵すぎるのでおすすめ(誰に?)勇気100%がこんなに泣ける歌だなんて思わなかったな。

夜道を散歩しながら、なんで?が止まらなかった。

なんでツアー中に発表するの?秋からグループ仕事が増えてきて、舞台やってライブやってENTAやって、1年間で一番おたく心が満たされる年末。しかも今季は年始にもツアーが残ってる。年始にどんな顔して会えばいいんだろう?ほんの数時間前まで、次の現場まで2週間もあるなんて耐えられない!とか冗談で言ってたのに、もう永遠に来なけりゃいいのにって思った。

なんで超上り調子の今?絶対一定数離れるファンがいるのに、こんなところで応援してくれる人を減らすなんて正気?って、正直思ってしまった。もちろん、頭ではアイドルという職を選んだだけで自由にタイミング選べないなんておかしいっていうのはわかってはいるけど、そんなこと本音では言えなかった。

見たくもない情報もたくさん見た。報道されなければ知ることもなかったはずの情報。誰が朝に婚姻届提出してから公演やってると思う?25日の昼、サプライズでDJなんかやっちゃったりして(しかもかっこいい方のコメディ衣装で)、こんなに真剣な顔するんだって思った幸せな記憶も、二度と思い出したくない記憶に変わってしまうのが悲しかった。楽しかった!と言葉では記憶してるのに、どんな感情だったかもう思い出せなくなった。

 

でも「なんで?」が募れば募るほど、1年間ずっと幸せにしてくれた、全力で大好きだった彼を全否定しているような気がして、それが一番つらかった。

 

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4年前から好きな気持ちに蓋をし続けて、ちょうど1年前。恥ずかしながらも同グル内で推し変した。

元担はアイドルとしてすっごく信頼できるひとだった。いつでも愛に溢れてて、パフォーマンスに波がなくて、自分に元気がない時に見ると純粋に元気をもらえるアイドルだった。でも現場に行くと、なんやかんや目移りしてしまうひとがいた。

2021年、かくかくしかじかおたくするのがしんどくなって、しんどくなるくらいならおたくやめようって思ってた。当時は本気で。たまたまチケットが余ってるから、と友達がそのグループのライブに誘ってくれた。

それが純粋にすっっっごく楽しかった。選曲もパフォーマンスも近さも全部が求めていたもので、すぐにおたく復帰。それと同時に本当は目移りしてしまう彼が好きなことを思い出してしまった。

3年間、自担にする覚悟が持てなかった。ずっと好きなことに気づかないふりをしていた。彼の考えてることが全く読めなかったから。何をしでかすかわからないし、欲しい言葉を欲しい時にはくれないかもしれない、振り回されるようなおたく人生はいつかつらくなると思った。

でも、一度ほとんど足を洗ってたおたく人生をリスタートするなら、自分の気持ちに素直になってもいいんじゃないか?って。彼がどんな突拍子もないことをしでかしたとしても全部受け止める覚悟で推し変した。

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何をしても受け止める覚悟を決めていたはずだった。でも、こんなことも受け止められない自分の小ささも悲しかった。1年前降りなかったらよかったのかな、もう一回おたくに戻ってこなかったらよかったのかなって何度も思った。彼を否定して、降りた自分も否定して、ひどく、ひどくつらかった。

 

大失恋だった。何も受け止められなかったのは、紛れもなく恋愛対象として好きだったから。日常のいろんなものが彼を想起させるのがつらかった。

おたくをしてる限り、どういう気持ちの「好き」かなんて考える必要がなかった。なんかわかんないけど大好き!だけで応援できた。おたくじゃない友人から、「いっぱい推しいるけど誰が一番好きなの?」って聞かれたことも何回もあったけど、好きな軸が違うから!ってはぐらかしていた。今まで自担にしてきたひとに対して、本当に本人とどうにかなりたいなんて一度も思ったことなかったし、そんな脳内お花畑ハッピーじゃないと思っていた。

でも、今回の発表にどうしようもなく涙が止まらなくて、彼への気持ちは恋だったんだなって気づいた。現実にどうこうなるわけでもないし、年齢なんてひとまわりも上だし、そんなことありえないと思ってた。でももうずいぶん昔に好きだった人に振られたときの感情と一緒だなあって。発表があった夜は、ほとんど眠れなかった。

 

2022年12月31日。朝スマホを確認したら、メンバーからのコメントが出ていた。ファンのみんなも受け入れてくれるよってコメントも見た。正直そんな余裕はなかった。

山を歩きながら、今日一日どう過ごそうかずっと考えてた。夜にはカウコンに出るって言ってたし、次の日には7時間オーバーの生配信&生放送が待ってる。どういう気持ちで見ればいいんだろう?結婚に触れないわけはない。一回元担に想いを馳せるか?でも一回覚悟を決めて降りたのにそんな簡単に戻れないよなってぐるぐる考えてた。

 

昼はV担兼声優ファンの友人に会った。既婚者が大半のグループって意味わかんないよね!とかありえない不倫の話とか聞いてめっちゃ笑った。なんだ、たかが結婚か!しかも交際5年半なんてめっちゃ一途じゃん!いけそう!なんて無理に自分を励ましてた。

だんだんどうでもよくなってきた。なんでハッピー年末年始休暇中にこんなにへこまないといけないんだって。つらすぎて、つらくないつらくないと思いたくて、だんだん感情がなくなった。

 

クリスマスのENTAは特別で大好きだった。今年は突如DJしたり、J-POPカラオケ大会が始まったり、舞台上でチキン食べたりシャンパン飲んだり、特別感満載でたくさん笑える日だった。でもこれからは「アー結婚記念日だな」なんてスーパー邪念を頭の隅に置きながら過ごさないといけないの?もう二度とあのクリスマスの楽しさは返ってこないんだなって思った。

 

元担のところに戻るか?ってもう一回考えた。

グループを応援したい気持ちは変わらなかった。こんなに私に刺さるエンタメを提供してくれるグループはないし、本気でもっと報われて欲しいって思ってる。でもそう思って応援する限り、彼の顔を見ないといけないし、彼をそっちのけで他の人を応援できるか?と聞かれればできないの即答で。

 

ちょっとだけカウコン見たくない気持ちもあったけど、おたく家族なので当たり前にカウコンも見た。

まさかのタイミングで触れられた。既婚の先輩方から「結婚おめでとう〜!」って言われて、戸惑いながらもニヤニヤするところを見て、あーーーーーー現実だと突きつけられた。そのあとはとても直視できなくて、元担を見てた。

 

ついに配信がはじまった。何事もなかったかのようにすーっと企画に入った。いつも通り酒飲んではしゃいで、あまりにも何も変わらなかった。反射的に彼のスクショたくさん撮ったし、カラオケしてるところも一緒に盛り上がった。アレ?これ私いけるんじゃない?って思った。

でも最後にちゃんと報告があった。本人の口から「結婚いたしました」って聞いた。普段あんなに真面目に話さないのに、まっすぐに、言葉を選んで、真剣な顔して話してた。それ見ただけで、ほんとに悩んだんだろうなって思った。

茶化さずに盛り上げずにただいつも通りに配信してくれたメンバーには本当に感謝しかない。

 

テレビの生放送も見た。番組冒頭で報告があった。でもそれだけ。罰ゲームすごろくのキス顔は本気でされたらどうしようと思ったけど、やっぱり本気でやらないし本気でやらないことを咎めないでくれて助かった。彼の性格とメンバーの優しさで普通に見れた。ずーーっといつも通りだった。

 

怖かったけど、計7.5時間、元日の配信たちを見届けた。

変わらずに大好きだった。今までみたいに、かっこいい!かわいい!めろ!とか思っていいのかな?ってめっちゃ戸惑いながら、感情が手探りだけど、なんとも言えない莫大な大好きだけが残った。

 

結婚したい相手がいても変わらずにアイドルを続けようと決断してくれたこと、あんなに不器用なのにずっと一途に思う相手がいたなんて感じさせなかったこと、こんな時代にどこにも騒がれないまま結婚したこと、何をとっても誠意しかなくて、彼が一人の人間として不誠実だったところなんて何一つなかった。そんな彼からこんなことで目を背けたくないって思わされた。ずるい、本当にずるい。現実問題応援できるかは一回置いといて、そう思った。

 

 

ずっと私の中ではいろんな好きがごちゃまぜになってた。今回失恋して一つの大きな好きが崩れた。

今でもひととしては大好きだよ。でも、「結婚」という邪念をどこかで常に抱えながら、今ではもう恋できないアイドルを今までと同じように応援するなんてできないと今は思ってる。

 

今後どうするかはどうしようにも会ってみないとわからないと思う。なんて言ったってジャニーズ一の爆忙で、現場も多いアイドルだから。

発表されてから、どうしようもないどうしようをずっと抱えてたけど、やっと、明日、自分の目で直接見て、前に進める。元担に目がいくかもしれないし、他メンバーにときめくかもしれないし、もしかしたら今後も彼に対して疑似恋愛できる!なんて思っちゃうのかもしれない。

発表があって10日間ほど、普通だったらあっという間にすぎるくらいの日々がとっても長く感じた。明日、少しは気持ちが晴れるといいな。

今後どうするかはわからないけど一回。

 

松崎くん、短いような長いような濃かった一年間、たくさんの幸せをありがとう。そして、未来に幸あれ!